2012年3月27日 (火)

母の梅

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桜か梅か、どちらが好き?っと問われれば、

断然、桜!だった。

淡くやさしい、

ソミヨシノに

趣ある山桜

花弁の形やたたずまいも

梅のそれより好きだった。

が、

生前、義母はことのほか梅が好きだったようで、

庭のあちこちに

数本の幾種類かの梅の木がある。

Tna

昨年越してきてからはじめての春、

ある朝、鮮やかな花をつけた梅の木に

目を奪われた。

冬の間、

ごつごつとうねった

真黒な裸の幹を

寒空に晒し、

乾いた枝を無骨に広げ、

佇んでいた木。

その木に

こっくりと濃いピンク色の花が

ポンポンと浮いている。

その様は

まるで訪問着の裾絵のように艶やかだった。

Tn

私は実は、

桜か、梅かではなく、

梅の花がそんなに好きではなかったと思う。

古風な印象があったし、

なんとなく淋しくて、

天神さんの梅、

彦根城の梅、

南国紀州の梅ですら、

季節のせいか淋しさがある。

その淋しさは寂しさでもあり、

何故か私には、

上七軒の色街を連想させる性質のもので、

道ならぬ恋とか

御座敷遊びだとか、

舞子さんよりは芸子さんの

簪より御太鼓の帯とでもいった

訳知りな世界の女性を思った。

なんとも昭和っぽい。

子供ながらに聞きかじった言葉から

勝手に想像たくましくして

大人な世界の花とも言える。

多分子供の頃からなんとなく

梅の中に桜とは違う

玄人っぽい色気を感じていて、

ちょっと怖いようだったのかもしれない。

妖艶とか淫らとか

そういうのを包んでいるくせに

天神さんの境内なんかで

楚々と花をつける様は

なんとも色っぽい。

義母はそういう人だったな。

艶やかで

賢くて

たおやかで

そう、何より可愛いくて。

さて今年、

桜か梅か、どちらが好き?っと問われれば、

どちらも同じくらい好きだと答えるだろう。

いや、

その質問自体が今やお粗末だ。

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